奇譚lavさんのレビュー一覧

割引セールで購入。
ボーカロイドを使った音楽だが、歌なのか旋律なのか効果音
なのか殆ど判別不可能な内容。逆再生の内容は朗読劇のような
雰囲気だが、たぶん普通に再生してもよく分からない。
オルゴールを無理な力で逆回転し重奏させたような、ちぐはぐな
アンサンブルは環境音楽の領域。ホワンホワンとしたバックの
音色は嫌いではないので、ミクの使い方に怒らない人は〇。

割引セールで購入。
ジャカジャカとしたパーカッションに、ぶつ切り・反復を繰り返す
焦点の合わない電子音と、明後日の方向を向いたボーカロイドの
呟きが、一切調和をみせることなくなり続ける実験音楽。或る意味
サークルの持ち味そのままで安心感だが、平常運転でこの分裂っぷりは
中々心配になってくる。特に後半は音声もぶつ切りになっていって、
ますます書く音色の境界が揺らいでいく様と、しつこいくらいの反復・
上書きによる再演は、悪夢を見た朝のデジャブ感という具合か。
何か覚めたい人向け。

割引セールで購入。
久々に同サークルでは面白い楽曲。ろまぐシリーズのアレンジ
(何故かこの曲だけカタカナ)で、ボーカロイドを使った
ダーク・テクノといった印象。ディレイなどのエフェクトで
曲全体を弄っている雰囲気だが、硬質なテクノビートとカットアップ
気味のボーカロイド音声がスタイリッシュで、90～00年代の
クラブ・テクノ的な飾らない感じが結構好み。ラストも投げっぱなし
でないのはポイント高め。

割引セールで購入。
ピアノによるインスト曲。インプロヴィゼーション的で
同サークルらしい不穏さはあるものの、導入の響きの印象のせいか
割と穏やかに聞こえる。月明かりの下で懐中電灯を持たず散歩
してみたものの、やはり月の光だけでは心細く、不安を隠しつつ
夜道を歩き続けるような、独特のぎこちなさが音色に現れている。
こういうテイストの曲も増えていってほしい。

割引セールで購入。
初音ミクを使用したアヴァンギャルドミュージック。
ギター・ベース・タンバリン・ボーカロイドと音色は豊富だが、
どれも好き勝手動いてアンサンブルのへったくれもない内容。
キャプテン・ビーフハートのトラウト・マスクレプリカ風
と言ったらそちらに失礼ではあるが、無軌道の演奏の果てに
閃く境地を狙ったような、アヴァンギャルド風アプローチが
根底に伺えるかもしれない。

割引セールで購入。
ピアノを使ったインスト曲らしいが、
バットで打ったような鈍い金属音が始終鳴り響く
不条理極まる楽曲。詩も無いしクラシックでは
無いし、他のレビュアーは何を聴いていたのか
逆に気になる。
東南アジアの寺院あたりで流れてそうな音色だが、
荘厳さよりは違和感めいた不協和音の印象が強い。
多少の雑音めいた曲の方が集中できるらしいので、
そういう用途には適しているか。

割引セールで購入。
ピアノを使用した5分程度のインスト曲。音色は綺麗だが、
紡がれる旋律は違和感の塊であり、例えばホラー映画で
突然なりだすピアノが奏でそうな演奏。廃墟の奥で聴こえてきたら
多分泣くレベル。たどたどしい演奏は、究極の音の形への挑戦にも
聴こえなくは無いが、もう何もかも諦めてしまった惰性の
繰返しにも聞こえてしまう。印象には残るが記憶には残らない音。

割引セールで購入。
ピアノによる5分ぐらいの演奏曲。ノイズ音楽
ではないのに仕上がりはノイズ的というか、
濁った低音を中心に奏でる演奏の不穏さと、
諭されても延々と同じフレーズを繰り返し続けるような
狂気じみた単調さが不気味さを煽る。出口の見えない
演奏は、そもそも出口を求めているのかも謎であり、
止められない火災をただ眺めるような無力感も感じさせる。

割引セールで購入。
いつも以上に音色の分割っぷりが際立つインスト曲。
テープをバラバラに切ってつなぎ合わせたような、
ぶつ切りのエレピが奏でる演奏は、音楽というのか、
事象と呼ぶべきか評価に困る内容。なにかメロディ的な
ものを探っているようにも聞こえるのは、ラジオの
チューナーを弄って探るような、まさしく音楽の交信を
試みる様子にも聞こえる。

割引セールで購入。
シンセ風な音色のインスト曲。なんというか音色がお洒落
というか、低音の響きや音色の紡ぎ方が妙にジャジーっぽく
感じるフレーズも。探偵小説的なという他の方のレビューも
なんとなくうなずける。それでいて即興的な同サークルの
方向性は変わってないので、なかなか面白い試行だと評価が
できる内容と言える。全体的な雰囲気も悪くない。