本サークルの前作品同様、ASMR作品というよりはストーリーに重点をおいた作品です。
ASMRとして必要な要素は揃っていますが、ストーリーに惹き込まれるため、この作品に純粋なASMR作品として触れることは困難だと思います。
作品購入の際は、『音に拘ったすごく良質なサウンドドラマ』と捉えておいたほうがよいでしょう。
ストーリーですが、公式ページに書いてある通り『亡くなった彼女にもう一度逢うために過去に戻る』というものですが、後半の彼女の本音に思わずぐっときてしまいました。
先輩の選択、そして物語のラストは人によっては好き嫌いが分かれるかもしれませんが、おそらく自分も先輩と同じ道を選んだことでしょう。
私は先輩の『正しい』選択を支持しますし、二人の『幸せ』を強く願います。
井糸冬役の石見舞菜香さんの演技は、普段の穏やかな声と先述の本音を語るシーンとのギャップが素晴らしく、ストーリーに惹き込まれる大きな要因になっています。
役としてもぴったりだし、石見舞菜香さんの声とバイノーラル録音との相性もすごくいいと感じました。
レビュータイトルに書いた通り、この作品は昔の美少女ゲームが好きだった人にはぜひ聴いてほしいと思います。
特に、切ないお話やいわゆる『泣きゲー』と呼ばれる作品が好きな人には強くおすすめしたいです。
画面はなくとも、丁寧な音作りのおかげで光景が目に浮かんでくるのですんなりと作品世界に入っていけることと思います。
新しい作品で古さなど感じないにも関わらず、どこか懐かしいような不思議な感覚を味わえることでしょう。
最後になりますが、作品の音楽もとても良いのでサウンドトラックがないのが少し残念です。
今後の作品では、早期購入特典でも構わないのでサウンドトラックをつけていただけたらすごく嬉しいです。