「私はいつでも君の味方だよ。」の煽りで始まり、不穏な紹介文やタグが並んでいる本作。
甘々な日常がトラック1,トラック2と続き、トラック3で不穏な気配が漂い始まります。トラック4で「これってつまり『ファイトクラブ』ってこと?と思って聴き進めてたのですが、トラック5で「『ゴーン・ガール』の方か!」となり、トラック6で「実は『ドラゴン・タトゥーの女』だったかもなあ」というのが1周目の私の感想です。
...正直『ゴーン・ガール』を思い出したので無理やりこじつけました。ごめんなさい。
何はともあれ解釈が分かれる(ことを意図して作られた)ボイスだと思います。
私なりの解釈ですが、「いつでも君の味方」の真意が、幼馴染がその約束を守るために何をしているかがほのめかされるトラック5でガラッと変わってきます。
そのうえでトラック6(実質的なエピソード0)を聞くと、やっぱりそういうことか・・・?となりました。
解釈の余白として一番面白いなあと思うのは、君(主人公)が幼馴染についてどこまで知っているのかが明かされないところにあると思います。
「君は幼馴染の彼女に救われたい」し、「幼馴染はいつでも君の味方」なはずですが、君の味方になれるのって君に味方が必要な時だし、トラック6はただの偶然の再会なのか、トラック5で君はどこまで彼女の声が聞こえていたのか、純愛とは何で、狂気とは何なのか。
何も気づかない君でいることも、全部知った上で受け止める君でいることも、聞き手が選ぶことができるというのが作意なのかなあというのが私の解釈でした。
難しいことは全部忘れて甘々な日常ボイスとしてトラック6,1,2を楽しむも良し、ヒヤッとするサスペンスとして周回して楽しむも良し、自分なりの解釈を整理してうんうん唸ってみるも良しと色んな方向から楽しめる作品となっています。そしてもちろん瑚白ユリさん独特の声が良いのでとても良いです。