硬い鉄は曲がらない。それ故に、いつかは折れる。
子供の頃に読んだとある海外児童文学において、性格・考え方を表していたフレーズです。
月社妃という少女が抱えている在り方は、そんな危うさを私に想起させます。
この音声は6トラック目まではやや退廃的な空気を漂わせながらも音声作品らしく、ちょっと意地悪なことを言ってくる元カノで実妹、というテイストです。
しかし、最後のトラック7では打って変わって退廃的でダークな空気が満ち、彼女による独白が行われます。(きっと当該部分で安眠された方は多数いらっしゃることでしょう。)
自ら選んだ行動の結果と、それに対して吐露される本音。
他のレビュワー様も触れられているところではありますが、ここにこの音声の強烈さが集約されていると思います。
彼女は良くも悪くも聡く、自分を曲げることをしない。自分の選択の結果がどうなるかも、それに対する自分の気持ちも、ともすれば相手の気持ちも分かっていたとしても、曲がらない。
あるいはそうすることしか選ぶことが出来ない、とでも言うような不器用さ、強情さを抱えていている彼女は、確かにある種の一本芯を持っていて、それ故にどうしようもない弱さを抱えてもいる。
そんな彼女を見ていると、しょうがないなぁ。ばかだなあ。などと言いたくなってしまう。
開口一番からお兄様相手に愚かだ、しょうがない、などと愛すべき舌鋒を振るっていますが、当の本人も方向性はあれど似たようなものです。
でも、だからこそきっと、そういう危うさのある少女をこれほどまでに愛おしいと感じるのです。