ペトロクロス

  • ペトロクロス [ロールシャッハテストB]
{{ swiper.realIndex + 1 }} / {{ items.length }}
ペトロクロス [ロールシャッハテストB]
販売日 2022年11月29日
シリーズ名 タンブルウィード
カップリング
作者 まさみ
イラスト yam
年齢指定
全年齢
作品形式
ファイル形式
PDF
その他
ページ数 12
ジャンル
ファイル容量
342.37KB

作品内容

あらすじ

ニューヨーク、ブルックリンの教会。
上院議員の息子に最愛の妹を殺害された女性は、悪党を非合法に殺す神父の噂を頼りに、彼に復讐の代行を依頼する。

「ご存知ですか。ペトロクロスは常に地獄をさしているのですよ」

一介の神父が遺族の報酬を受け取り、悪党を始末して回る理由とは。

現代アメリカが舞台の復讐代行もの。ハードボイルドタッチのBLです。
ほんのり年上神父×弟子要素含みます。

プロローグ

ニューヨーク、ブルックリンの教会。
赤茶の煉瓦を基調にした外壁に、美しい諧調を帯びた薔薇窓が切られた外観は、高飛車に神の威光をしろしめすよりも地域に根差した布教精神を重んじる。
今日も迷える子羊が扉を叩く。

「こんにちは。お時間よろしいでしょうか」
「かまいませんよ、お祈りですか」
礼拝堂に緊張した声が陰々と反響し、床にモップがけしていたピンクゴールドの髪の青年が振り返る。
「あなたは?」
「ただの居候です。なんていうのかな、雑用係が一番近いか?ちょっとした縁あってこの教会で働かせてもらってるんです。礼拝堂の掃除や説教の準備、先生の身の周りのお世話に至るまで色々やらせてもらってます」
「はあ……お弟子さんみたいなものですか」
「そうそれ」
指を弾いて笑顔を見せ、モップを立てかけ一旦奥へ引っ込む。
「新しい人が来ましたよ、先生」
「3丁目のジョアンナさんでしょうか。足が癒えるように願をかけにこられるのですが、バスは事故をおこすのが怖いからと3ブロックを歩き抜くのはよい心がけです。本人がお気付きにならないだけで既に奇跡は起きているのかもしれません。それとも9丁目のセスさんでしょうか?十代で妊娠・駆け落ちした娘さんの無事を祈りに来るのですが、彼女を孕ませた彼氏にショットガンを突き付けたのはまずかった。娘をキズモノにしたと大層怒っていらっしゃいましたが、それを決めるのは娘さんご自身です。お腹の子にも罪はないというのに、些か過激な行動に走りすぎましたね」
「初めての方です」
咳払い。
「失礼しました、ご用件は」
「懺悔に参りました」
傍らの青年の顔が微妙に強張る。この教会における『懺悔』の裏の意味を知っている反応だ。
「案内します、どうぞ」
「わざわざありがとうございます」
告解室の前で別れる間際、殊勝に礼を述べる女性に対し、どもりがちに気遣うそぶりを見せる。
「あの……大丈夫ですか」
「え?」
「顔色が優れないから……すいません、変なこと聞いて」
「ああ……優しいんですね」
女性が義理で微笑む。
「たぶん薬のせいです」
「どこか悪いんですか」
「精神科でもらった薬です」
それ以上の説明は省き、踵を返して会話を打ち切る。
お節介が過ぎた失言を悔やむも時既に遅し、いたたまれなくなった青年はすごすご引き返していく。
ノブに手をかければ扉が軋み、告解室の全容が視界に立ち上がる。
狭い部屋だ。
馬蹄型の天窓には美麗なステンドグラスが嵌め込まれ、聖書の一場面を神々しく描き出す。
正面にはカウンターを備えた木製の仕切りがあり、何者かの気配を向こう側に感じる。
「おかけなさい」
落ち着き払った声音に促され、ぎくしゃくと椅子に掛ける。

同一シリーズ作品

サークル作品一覧

作品をもっと見る

販売作品

この作品を買った人はこんな作品も買っています

最近チェックした作品

開催中の企画・キャンペーン