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愛

人間はいつの世も、愛によって生かされて、愛によって励まされ、愛によって支えられ、そして愛によって狂わされます。

愛の漂わせる甘やかで美しく豊かな香りに誘われた私たちは、こっちの蜜は甘いぞと花畑を優雅に飛び回る蝶の如く、愛を求めて揺蕩います。

─そして、道徳とか理性とかいう他の大切なことすら愛の前では取るに足らないもので、背徳的な愛の蜜に絡め取られた蝶は幸せの中で羽ばたきを止めます。


実の母親との背徳的な愛。
母親の熟れた身体が、優しい声が、禁忌とされる近親相姦へと手招きます。
親子愛を超越した性愛が甘美かつ精細に描き出されたこちらの作品。

初めは酔った勢いから始まった関係性でしたが、息子の真っ直ぐな思い“純愛”と、その気持ちを真正面から受け止める母親の気持ちが、そして2人の身体の相性と性欲が、2人を背徳的な関係性へと誘います。
母親の理性や道徳観が少しづつ変容していって、愛という強大な力と持ち前の性欲の前に瓦解していく描写が本当に美しくて、この感情的な面の描写が以降のセックスシーンの表現をより一層盛り立てていたように思います。

背徳感によって甘く香り高く味付けされた性愛は、吹っ切れた母親の下品な喘ぎ声によって更にドスケベさを加速させていきます。
愛情の強さ、気持ちの深さに正比例した深いところから鳴り響く喘ぎに下品な水音、肉と肉のぶつかり合う音。
ドスケベで聞き手の性欲を煽ることは間違いないのですが、親子の奏でる背徳純愛はもはや音楽のようですらありました。

指輪を渡したり、妊娠検査薬を確認したりといったセックス以外の表現も非常に美しく、2人の関係性というドラマに彩りを与えていました。
純愛、それは純粋な愛であって単純な愛ではない。

人類の長い歴史で何度も紡がれてきた愛のストーリーのどれをとっても複雑怪奇で重厚なものです。


背徳的な親子愛という粘性の強い蜜に捕らえられた2人に、今という幸せを。