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「【ヤンデレ×破滅】清楚に見えて実は病んでいる元教え子JDに逆NTRされる。」 へのレビュー

    • 2024年08月26日
      レビュアーオススメ!
      夏の蝉の清涼とは裏腹に、そのあまりに如才ない退廃にどこまでも溺れていくような、陽炎めいた酩酊の中の幻想にさえ思える物語に思わずレビューの筆を執りました。

      本作品では特に情報の蒔き方、それが芽吹くタイミングが非常に優れており、そのシナリオの構成力には舌を巻きます。
      そもそも千織がヤンデレである、という開示すらも巧妙にその時機を見計らっている程です。

      髪、癖毛の矯正。レプリカの絵画、造花――何気ない一言や、千織の周囲に配置されているものが彼女の澱む深層に絡みついたものであるというのも、この作品に奥行を与えている要因になっています。一度視聴を終えた方も、ぜひもう一度聴いてみてください。

      取分け好きなところが、トラック5です。
      これまでの、蝉吟の中嫣然と笑むような、背筋を伸ばして言葉涼しであった様子から打って変わり、夏の蝉時雨が冬の時雨となって、背を丸めて訥々と話す五年前の千織のシーンが儚げな情緒を巧みに表現しており、その後のストーリーに拍車をかけています。

      そこからのトラック7の最後の伏線回収には唸りました。これまでに何気なく散りばめられていたワードの全てが、初めから周到に仕組まれていたものだと分かり手が止まりました。目的を中途に、キーボードを叩いてこれをしたためてしまうレベルでしたね。

      浅木式様の熱演も素晴らしいです。
      沈淪してしまうような蠱惑的で柔和な声音から、時折見せるぞっとするような低い声音。それから千織の五年前の淡い秘匿のある声と、彼女本来の剣呑さを表現するその緩急自在の息遣いは見事という他ありません。

      「偽物でも手の届くところにあれば」

      そのような、澱んだ胸中と諦念と恍惚とが綯い交ぜとなった千織の、危うげな心理の機微が織りなす卓越したストーリーでした。

      ところで、紫のリナリアの花言葉は――。
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