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クトゥルフ神話TRPG 第六版シナリオ
『夢七夜、竹の橋立にて。』
店頭に並べられた大型テレビからは老若男女悲喜こもごもの情報が流れてくる。都会の喧騒と灰色の雲。うんざりするような世界の中、約束の時間が過ぎていく。
このまま立ち去ってやろうか。
ふとそんな考えが頭をよぎる。
馬鹿馬鹿しい。そんな事が出来るわけもない。
いやむしろ、その選択こそ利口かもしれない。
優柔不断さが足を右往左往させる中、
そいつは丁度15分遅れでやってきた。
「やあ、待たせたね――――」
雨の降る六月のある日、あなた達は旧知の人物より連絡を受ける。
「私たちの町が危機に晒されている、君たちの助けが必要だ」
声だけで非常に切迫した様子が伝わってくる。
おそらく電話の向こうでは頭を必死に下げているのだろう。
あなた達は思う。あるいはうっかり声に出す。
「ついに七夕祭の人出が足りなくなったのか」と。
あなた達の故郷である稚彦町は、人口流出により今や老人ばかりの町だ。
NPO法人の力を借りて町おこしを企画しており、実際にそれは上手くいっているようではあるが、それも焼け石に水。
なにせほぼほぼ老人の町。いくらNPO法人の協力があるからと言えど、新しい住民が入ってこないのであれば、いつしか限界が来るのは明らかだ。
だからこそ、あなた達はこの町を捨てて外に出た。
だからこそ、若干の罪悪感からこの町に戻ってきた。
所詮はひと時の夢。
でも、それを守るのも時として悪くないだろう?
プレイ時間:6~8時間
プレイ人数:3~4人
推奨技能:交渉系技能・目星・EDU
作成ルール:探索者は全員稚彦町出身であり、現在はこの町から離れている。
探索者には共通の友人”此花 睡蓮”が存在する。
探索者は全員が友人である事が望ましいが強○ではない。
〇稚彦町(わかひこまち)
中部地方のとある町。探索者全員の故郷。
人口はおおよそ五千人程度。若者の都市流出が進んでいる為で、人口は減少の一途をたどっている。
特産品や名物なども存在せず、人を呼び込む力が全くなかったが、NPO法人 “都市くくる”の協力を得て七夕祭りを企画。それが上手い事ヒットしたことで、七夕を中心としたPRを展開している。
そのおかげか、平時でも観光客らしき人物を観ることがある……が、活性化と言えるほど賑わっていないのが事実である。
〇稚彦町の教会
クロード神父が所属している教会。羅々山の近くに建っている。
信者以外にも公開されており、町民たちの寄合所の様になっている。
ただし、毎週金曜日は貸切られているようで、その日は見ず知らずの老若男女が教会に集まっているのを見ることが出来る。
〇稚彦町七夕祭
街並みを七夕仕様に飾り立てるという、至極単純な祭り。祭りのフィナーレにすべての飾りを焼納するパフォーマンスが話題となりそれ以降観光客が集まるようになった。
観光客には歴史のある祭りのように見せかけているが、実際は二十年程前からはじまった、歴史の浅い祭りである。
〇NPO法人 都市くくる
地方都市の活性化を目的として活動を行っているNPO団体。
稚彦町の七夕祭を始めたのもこの団体の提案によるもの。
〇羅々山(うすあみやま)の輝く竹
深夜に羅々山の竹林が時折光り輝くという噂。十五年ほど前から噂になっており、町内の人は殆どが知っている他、インターネット上でも時折話題に上がることがある。見たことがあるかどうかは探索者によるが、原因は不明。