最強魔法少女ミスティホーリアの陥落～実妹悪堕計画～

両親をダークグラビティの襲撃で亡くし、それ以降二人で生活を切り盛りしている。幸か不幸か、就職を間近に控えた上での両親の死だったため、死後すぐに一般企業に就職して仕事を始めた。

しかし、それからたった三か月後、アナタの運命は激変する。

その日も普通に会社へ出社しようとしていた所、不意に街の人に呼び止められる。よくあるビラ配りの一人として無視してやり過ごそうとしたが、ふとその人から漏れた言葉が突き刺さる。

「アナタのご両親のお身体、こちらで預かっていますよ」

という言葉を耳にし、足が止まるアナタ。

「嘘は言っておりません。私はアナタを純粋にスカウトしに来たのです。栄えある【ダークグラビティの幹部候補】として。契約金は1億円です。勿論アナタの本名や素性が知れる事は絶対ありませんし、更に自ら手を汚す必要も全く無い。ただアナタはその魔力で魔物を指揮し、統率を図ってくれればそれでいいのです。その上でアナタの肌に合わないとお思いでしたら、いつでも辞めていただいて構いません。契約金は返さなくて結構ですし、ご家族の身の安全も必ず約束します」

小学生並の虫の良すぎる話に状況を飲み込めず、契約金が1億という話を初めとして全てが嘘臭すぎて仕方ない。しかし、話を聞くだけでも100万円渡すなどと、お金を餌にしつこく呼び止められ仕方なく折れてついていくことになる。

結果的に、謎の男から聞かされたのは「アナタには類稀なる闇の魔力の素質がある」という事だった。
生活水準も高くない中で目の前で大金を見せられては欲望に抗う事も出来ず、こうして仕方なく『闇の組織幹部候補』として契約を果たすのであった。

――尚、闇の組織の話は妹には秘密にした上での前提である。

兄と同じくダークグラビティの襲撃で両親を亡くした事件をきっかけに、内に秘めたとてつもない聖なる魔力の素質に目覚める。そしてその才能を見逃す筈が無かった魔法少女協会はすぐさま彼女を引き入れようと、大量の契約金を用意してスカウトする。一方で生活が貧しかった彼女もそれを断る理由が殆ど無く、無事契約完了してからは世界各地を魔法少女として飛び回り活動している。

100年に一人の魔法少女と謳われているだけあり、とてつもない魔力を保有しているSSランク最強魔法少女。その活躍ぶりは魔法少女協会だけではなく、一般の人や多くのメディアにまで深く知れ渡っている。

魔力のコントロールにはあまり長けないが、それを補って有り余る魔法力を有したパワープレイが売りの魔法少女。その中でも、聖属性を伴った【極大魔導聖砲・ギャラクティックホーリー】はまともに受ければいかなる強大モンスターでも貫き浄化し切る力を持つと言われ、彼女が最強魔法少女たる所以を見せつけている。

――しかし、ここまではあくまで彼女にとって表向きの姿。

その裏では、最強であるが故の仲間同士からの嫉妬や協会からの一方的な責任を押し付けられ、時には得も言われぬ誹謗中傷という名の重圧すら浴びる事もある。

それでも彼女は、世界の平穏。ひいては残された唯一の肉親である大好きな兄(アナタ)の無事が守られるならと、彼女は今日も戦い続ける。