出会い、求婚からの初夜はセオリー通りですが、声優さんの演技がとても良い。吐息多めでゾクゾクするのもありますが、「えっと…」というセリフを「えと…」と発音したり、笑い声一つとっても「ふふっ」「うっふふ」「んふふ」など(文字にすると変ですが)バリエーションが豊富で、3次元的でもなく、かといってそっくり台本通りでもない、「2次元の存在」を「演じる」というのがとても得意な声優さんという印象です。
また、その後のお酒パートからは新鮮です。先程まで恭しく尽くすものの、出会ったばかりで若干の距離のあったカレナが文字通り喜怒哀楽を強く出しながらグイグイ距離を詰めてきます。この時の声優さんの演技がまた超可愛いんですよね、敬語で喋ったり外れたり、出会った時からは考えられないようなテンションでヘッドロックしたりえっちーと言ってきたりと大暴れですが、後に彼女自身がとても楽しかったことだけは覚えていると語る通り、全体的にずっと楽しそうに聞こえる演技という印象でした。
翌朝、1日(2日?)しか経ってないのに昨夜の晩酌ですっかり打ち解け、ベッドでイチャイチャするのは1日目とはまた違った多幸感、充足感があってとても良い。照れや恥ずかしさが抜け、口調も若干砕けつつという演技がまた良い。ずっと声優さんの演技が良いって言ってるな、でもこの演技のおかげで約2時間の中で距離が詰まっていく脚本の魅力が十二分に発揮されていると言っても過言ではありません。
最後のおまけパートの酒エピソードはもう完全に身内のノリで超可愛い。というかそんなドス効いた声も出るんですね…「おし」のあたりで「え?」って声出ちゃった…でも好き。
全体を通して、異様に上手い耳フーや絡みの声で実用性もありつつ、緩急のあるキャラクターと脚本をしっかり捉えた演技で素晴らしいクオリティの作品だと思います。