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2016年09月07日
近かったな……エロかったな!って言ってしまった(憑き物の落ちたような顔で)
へにゃ声の藍沢夏癒さんの歌声が聴ける冒頭パートだけでもう愚地克巳の如くサークルさんの方角を向いて
謝りたいと感じさせるが、その最初のちょっとアホなノリとサービスが始まってからのグイグイ来るところのギャップでだけでもう抜かせる。
女の子の適度な心理的距離感、口調やキャラクターの飾らなさ、喋りのナチュラルさ…
これでプレイがあくまで行き過ぎないところも解ってるなという感じ。
適度な心理的距離感と書いたけど、物理的には、近い。近過ぎである。
夏癒さんのお得意の生々しい吐息やリップノイズ、十二分に味あわせてくれる。
もうこの息づかいだけでエロすぎて、はい。
その"くっついてる感"をよく心得た音作りは、個性的というものではないけど職人技かなと。
めっちゃ近い距離で夏癒さんの息づかいを楽しみたい人はぜひ。
エロいですよこれは。
耳かき音声シーンをリードするサークルのひとつであるとみみ庵が作り上げたマスターピース、『鈴の緒を引けば』。
その続編にあたるのが本作品。
これが掛け値なしの傑作で、至高のケモノビエント体験を心ゆくまで味あわせてくれる。
サークル得意とするところの環境音や耳かき音はより磨きがかかり、今回、特に石畳に反射するような蝉の声、
粒の重い夏の雨なんかの環境音は音だけで夏を十二分に感じさせてくれるもので、見事としか言いようがない。
音叉のように音で耳を癒す器具を用いるという、特殊なパートもあって、ここは冒険しているのかと思いきや安全安心の癒しサウンド。
音を丁寧に扱われているのがよくわかる。
しかしこの作品はやはりテンというキャラクターなのだ。
あどけなさ+慈愛、初心(うぶ)さ+達観、というような相反する内面性を溶け込むように共存させた藤宮れんげさんのお声のすばらしさ。
演技にしたって、たわけという言葉ひとつにここまでニュアンスを持たせられるのかと。愛おしい、の「たわけ」、心して聴いてほしい。
前作からの流れで幾分か素直になったテンの、こぼれるいじらしいような本音、それを表現する美しい台詞回し…。
抱きしめたくなるほど可愛くて、ちょっとせつない。
同サークルの休日屋シリーズを聴いている人には、ゆるく世界観のつながりを感じさせるファンサービスもあり、至れり尽くせり。
しかし一番嬉しかったのは前回心を蕩かされたもふもふしっぽ耳掃除がたっぷりあったことかな。
+ +
きみのとこまで歩く、長い石段をのぼって。
反射する蝉の声、つたう汗ごまかして歌を口ずさむ。
鳥居をくぐった先にあの縁側が見えて。
きみの驚いた顔、覚えてた恋の歌、ぜんぶ忘れる。
夏がどこか遠くで鳴ってる。
『道草屋 芹ーおもいで』のレビューを書こうとして、いきなりその後丸一日、アシッドで落ち始める時のような状態がずっと続いて、
すべての意識が高速でぐるぐる回り続けて、ずっと話してるか、ずっと歩いてるかしかできなくなった。
20時間以上かけて僕が書けたのは一言だけ。
「芹さん、嫁に来て」。
そんなわけで、何か書こうにも、芹さん僕の専属店員さんに成って下さい。メリー・ミー・ミス・セリ。等と書きだしては消し、々々、数日過ぎるに任せまして。
けしの花言葉は陽気で優しい、芹の花言葉は清楚で可憐、とは申しますが、ご本人も曰く、清く正しく美しく、完ッ壁な店員さんですよねぇ、と。
ははあ、清純乙女かは僕の口からは何とも…、ただ、可愛いひとだと。只々かわいい人だと、そう思います。
はこべらさんの諳んじていた"酒を飲む人花なら蕾"…というのは坊扇歌の有名な都都逸ですが、酔美人なんてのはもう定番のお題ですよね。
"お酒飲む人、心(しん)から可愛い、飲んで管(くだ)まきゃなお可愛い"…"花は口実お酒は道具 酔ってしまえば出来心"、
"この酒を止めちゃ嫌だよ 酔わせておくれ まさか素面じゃ言いにくい"。
ああでも今宵も"言えばよかった ただ好きですと 飲んでくやしさ ますの酒"…。
どう書きだせばいいのやら、そそ、有名な芹に口づけ、じゃなかった、"シェリーに口づけ"…のマ・シェリはマイ・ディア、「愛しいひと」の意味。
…や、消し消し。今晩も書き出しも出来やしない。
モノの良し悪しを語れる身分じゃありませんで、これにつき僕に言えるのはひとつだけですね。
●作品内容
7月初旬の、まだまばらな蝉の───
あいすみません、僕の言葉で。
目を閉じたら、世界でいちばんかわいい人が傍らに座っている、そんな音がありますよと。
しかし"目隠し鬼"、怖ッわいですねえ…。
2016年05月31日
アイドルものにおける事務所事務員、学園ものにおける教師、いわゆる"攻略対象外"なんて呼ばれる、聖域というか、
壁の花的ポジションのヒロインというのがいるけれど、こうした専門店系の作品で表現するとこうなるかな。
というわけで、癒しの湯・椿屋の受付を務める澪嬢から癒しのサービスを受けることになるのがこちらの作品。
個人的にそういう壁の花の子が気になるタチなので聴いてみたら、これがエライ良かった。
まずひとつは、澪のキャラ付け。
立派な太眉と素朴ながら人懐っこそうな顔だちから想像できる通り、思いやりに満ちた丁寧なサービスをしてくれる。
ある事情から彼女がこうしてお客様の相手をするのは初めてではないのだけど(その辺の話は彼女から直接聴いてもらいたい)、
手探りさもあって、初々しく微笑ましい。
もうひとつは、盛りだくさんのサービスが時間の経過込みでじっくりと描かれること。
上でも触れたように彼女には特殊な事情があって、それでお客様との距離感に最初戸惑っているのだけど、その距離がサービスを通して少しづつ近づいていく様子がきめ細かく描写される。
癒すということと癒されることは表裏なのかもしれない、つまり、人を癒すことを通じて自分のほうが癒えるということがあるのかも。
最後に、里々朱あんさんのお声。
あどけなさと色香が奇妙に同居していて、ちょっとへにゃっとしていて…親しげで落ち着かせる声色。
でもって子守唄のパートで聴けるお歌は見事の一言。
てなわけで癒しのサービスとちょっとした物語性、キャラクターの文句なしの可愛さまで兼ね備えた良作。
壁に掛けられたポットの花は、素朴な色合いで部屋に溶け込み、普段気に留めさせるようなものではないのだけど、
いつも朗らかに咲くそれをひと撫でしてみると、ふわりと甘く爽やかな香りが鼻をくすぐるのだ。
何と言っても二日目、耳かき後の場面。
綿棒でお耳くるくるが終わって、梵天を…と思ったところ、梵天がない。
そこでテンは目を閉じているように言うと…。
かつてこんな愛情の表現があっただろうか?
触れることとか体温を感じさせること、心の許しぐあいとか、この作品の持つ温かみがここに端的に表現されているように思える。
ケモノ+アンビエント=ケモノビエントとでも呼びたい、耳が救われる至福のひと時だ。
環境音含め作品を構成する音は柔らかな音色で統一されているけど、やはり藤堂れんげさんの声。その表現力は圧倒的だ。
小声ーささやきの間をなすグラデーションのキメが異様に細かいというのか…
ささやかな吐息、言葉未満の息づかい、その癒し特化なやわやわボイスにはただ耳を蕩かされる。
この音声を聴いているあいだ、ずっと愛情を注がれるっていうことの喜びを感じていたんだけど、
それで浮かんでいたのが慈愛っていう言葉だった。
辞書で引くと、"親が子どもを慈しみ、かわいがるような深い愛情"、って書いてある。
慈しみ愛すること。
…ふかふかの音にくるまれて、ちょっと耳の後ろがくすぐったくなった。
……
ってか、三日目冒頭、本当に可愛すぎである。
愛おしくて愛おしくて泣きたくなる。
2016年02月14日
自分は結構数は聴きながらも、催眠に明確にかかった、みたいに感じられたことは少ないというたちなのだけど、これはスゴかった。
ネット電話で通話しながらという無茶のない設定、M向けみたいな性癖を選ばないところ、催眠状態とは?みたいな説明から自然に暗示への移行…
いつの間にか構えを解かされ、自然にかけられる、お膳立てが巧いなあという印象。
肝心の催眠については、あらゆるところに仕掛けがしてある、というか…
こちらの半信半疑な部分、抵抗しようという気持ちまで手玉に取られる感じで、実際に途中途中で不思議な体験をしながら、いつの間にどっぷりと篭絡される。
表面上強烈なクセはないが徹底して考え抜かれているという感じ。
はじめての催眠にも、催眠にかかる気持ち良さをよく知っているという向きにもおすすめする。
これはニュースタンダードという感じなのではないだろうか。
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「はー…いっ♪おひざに、どうぞっ♪」
ああ…ああ…ああ…
鉄瓶さんのシュンシュンっ…という音と静謐な空気、例の「はーいっ♪」という優しい声が耳を撫ぜると、もう抵抗なんて無意味なのである。
というわけで全耳連(全国耳かき音声連合会)推奨、同人音声アカデミー賞甘やかし系お姉さん女優賞受賞、この健全系耳かき屋店員さんがなんか甘エロい2015、
と多数の称賛を(僕の中で)昨年度欲しいままにしていたたびこさん最新作。
道草屋の中でも随一の甘やかし力。かりかり、ちゅっ、ふー、あらゆる優しさでもって、耳を甘やかしめる。僕は初めて「バブみ」なる感情を理解できた気がする。
赤ちゃん言葉とかそういったワザとらしい演出はないのに、いつの間にか弱い部分全部裸にされて、そこをふんわり暖かく抱きしめて貰えるような、
生まれたままの姿で祝福されているような…。
全編が癒しに向けてチューニングされ、徹底してストレスを排した…こういうの場所を極楽っていうんだろな…世界で、ただただ甘やかされる至福。
健康管理(意味深)もちょっと無知シチュ気味なところやたびこさんの興奮が静かに伝わってくるところなど、控えめな表現ゆえにエロい、
奥ゆかしいエロさが表現されていて大変好ましい。何より、作品のなかにぴったり組み込まれて癒しを邪魔しないのがすばらしい。
音フェチ的に一番聴いてもらいたいのは、むしろ主張しない部分。
出来る限り他の音が入らない環境で聴いてみること。
最後の最後にたびこさんが後ろから「ぎゅー」してくれるのだけど、ここは本当に驚異的だ。耳に意識されるような音はあまり鳴っていなくて、
代わりに、うっすらと背中に感じられる感触…温度…鼓動…存在感。そこにいて触れている、という感触。
最後にぽろっと出る惜別の言葉も甘い切なさだ。
某同人ゲームで
「安心できることと安全であるということは、同じどころか背中合わせのものだ。安心していれば安全は遠のくからだ。
でも、守ってくれる人がいるときは別だ」
なんてことを言っていたけど、それになぞらえて言えば、僕は、この作品を聴いている間、この世界に守られている、と感じたのだ。
それは殻をすべて剥かれてしまったゆで卵のような、そんな心でいることを許される、という感覚だ。
もはや音で世界を描く魔法を修得したかのような桃色CODEの音響マジックは相変わらずで、
リアルながらも丹念に小骨やトゲの取り除かれたような柔らかな声、環境音、すべてが癒しの方向を向いている。
それに加え今回の作品、キャラクターの性格を利用したアプローチには驚かされた。稲が甘えかた、甘やかされかたの手本を示して、
それをたびらこが受け止めるというモチーフが繰り返されている。
ただそのやり取りに身を委ねるだけでいい。はじめは見よう見まねで。ほぐされて、ふやかされて。
そうしているうちに思う。
あれ、肩の力の抜きかたを忘れていたかもしれない。楽にしてなんて言われて、逆に強張るようなことばかりで。
安心できるということは、一番弱い自分でいられること、それを許されるということだ。
ここでは我慢しなくていいんだよ。殻で自分を守らなくていいんだよ。うそをつかなくていいんだよ。
そうして弱い部分を優しく、やさしく撫ぜられて、傷が消えていくくすぐったさに、体が少し熱くなる。
癒されるとは、そういうことだ。
2015年11月03日
VOICE LOVERさんのシリーズの中でも糖度高めのあまえた樓シリーズ、特に好きでよく聴いている。
あまえた樓は本来エロ要素のないシリーズで、この裏・あまえた樓はそのエロ有りということになるんだけど、
前者でキャラクターを充分に描いておくことで後者での可愛さもエロさも倍増しで感じられるという相互作用がすばらしい。
これ聴くなら、先に全年齢のあまえた樓のほうを聴いておけ、と口を酸っぱくして言いたい。
さくらの純真さ、まっすぐ向けられる好意にくすぐったいような気持ちになる、しかもそれはやわらかい方言にくるまれているというわけで、
あえて何か言葉を探すとするならこれを愛おしいと言うのだろうな。
エロいパートでは好きが抑えられずにズブズブといってしまうような部分もあって、少しの背徳感も絶妙なスパイスになっている。
で、やはりこのサークルさんといえばの囁き声、今回も十二分に味あわせてくれる。
甘くやさしく愛おしい、あまえた樓らしい大人向け音声作品に仕上がっているなと。
最後に本作品とあまり関係のない願望を書かせて貰いたいのだけど、シリーズでは自分は葉奈琵が一番のお気に入りで、しょっちゅう聴いている。
VOICE LOVERさん、何卒、葉奈琵の続編お願い致します。
普段非常によく使わせて頂いている安眠音声で、際立って個性的というものではないけれど総合力がとても高いなと。
暖色系のイラスト通り、全編が暖かな雰囲気でチューニングされている。
ベッドの上だけで展開しながらも多種多様なシチュエーション、物音、声の距離の近さ、優しいホワイトノイズ…
そしてなんと言ってもこの羽毛のようにふんわりとしてトゲのない、高域が強くなく丸まったウィスパーボイス。
作品にぴったりすぎる程ぴったりで、これだけで強力な癒し効果がある。
主張しすぎないバイノーラルの効果での音の近さも良い仕事をしている。
無意味というわけではないが、考える必要もない語りの内容もいい。
それぞれの要素が十二分に作用しあって、催眠的なことはしていなにのに、体の内側から暖かくなってくるような気すらする。
癒しを求めて安眠音声をお探しの向きには、まずおすすめしたい作品。