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「腹減ったな……」
鍋島頼人は大学3年生。さらに今はテスト勉強の真っ最中。
「だけどもう少し、あと1ページくらいは暗記しないと」
頼人は泣く泣くノートにかじりつき、重要っぽい単語や文章に蛍光ペンで色をつけていく。
「あと1ページ……」
そのときであった。
ガタン、ガタンガタン!!
「うんしょ、よいしょっ……もうちょっとで出られるっ」
机の、引き出しの中から声がする!
勉強のし過ぎで頭がおかしくなってしまった!?
い、いや、そんなになるまでぶッ続けで勉強している訳ではない!!
「お父さーーーーーんッ!!」
引き出しがバーンといきなり飛び出て、開いた。
モロに引き出し(飛び出し中)を腹に喰らって、小学生の頃に椅子をこいで遊ぶ子供が大抵そうなるように、後ろに倒れた。
「よいしょっと。……ふー、やっと出れた……ここが21世紀初頭……」
「えっと……ここにいるはずなんだよね。一体どこに」
ポニーテールの女の子が立って、きょろきょろと部屋を見回している。
誰だこの子。というか何で引き出しから、引き出しから出て……
「お父さん、見つけたッ!! ボクは葵。鍋島葵です」
「ボクは、お父さんに会うために未来からやってきた、あなたの娘なの」
ガタガタ……
そして、押入と畳の下の二ヶ所から、さらに二人の女の子が姿をあらわした。
「パパ〜っ!! あれ、パパは?」
「あら、あら? ととさま……どこ、どこにおわしますえ」
大・混・乱。
ええい知るかい! と逃げる様に部屋を出て風呂へ向かった頼人。
ガラガラガラ……
「……あ」
「おとーさん……むかしのおとーさん、はじめまして……」
「まーーーーたーーーーかーーーーー!!!」
いきなり、未来!から押しかけてきた4人の娘たち。
事の成否はさて置いて、「俺って将来4人も娘を持つんだ」と思ったのもつかの間、4人は4人ともお互いを知らないという。
姉妹どころか自分は鍋島頼人の一人娘だと主張する。
いったいこれはどういう事???
4人のうち3人が嘘をついているのか?
それとも頼人は隠し子を3人も持つほど将来、堕落しているのか!
それとも……
今一どころか今十ぐらい納得出来ない事情を山の様に引きずりつつも、
4人の娘との共同生活は、流れに流されウヤムヤのうち始まってしまったのだった……