レビューを報告する

買って数年間寝かしてのプレイでしたが素晴らしい作品の一言に付きます。

この作品は鬱、背徳ジャンルの表記の通り退廃的でインモラルなエロシーンを楽しめますが、同時にそういった感情に対する自己嫌悪を増幅させられる巧妙なキャラクター造形が主人公、そして対峙することになる人物の物語の中に組み込まれます。物語の触りに触れるだけで知ることができますが、多くのプレイヤーは主人公くんのような露悪的でも壮絶なトラウマもありませんが、画面の向こうからゲームの中の不幸な女の子を弄ぶ精神性において主人公くん、そしてストーリー上対立することになる人物の行動と変わりない事、その醜悪さや後ろ暗さを悪夢を通じてプレイヤーの認識に押し付け、主人公くんの受ける精神的拷問がダイレクトにプレイヤーに刺さる構造は正しく脚本の妙と言えるでしょう。

ストーリーの都合メインヒロインとの描写は比較的薄味ですが、上記の強いストレス要素がヒロインへの愛おしさ繋がり、ヒロインを信じられるかが物語の鍵となります。全編フルボイスの演技はどれも迫真で素晴らしいもので、ヒロインの罵声が特に良かったです。シチュエーションが合う人ほど共感し、長く苦しめられ、そして愛おしく思える作品です。もっと多くの人に知ってほしいです。