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「ヒラヒラヒヒル」 へのレビュー

読みやすいテキストとテーマの組み合わせ良し

2023年11月21日   完全食 さん

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瀬戸口廉也作品と聞いて何を思い浮かべるかと言えば、やたらと長いセリフと地の文が画面いっぱいに表示されるさまとか、シリアスな内容とひとつまみの希望、みたいなところではないでしょうか。『ヒラヒラヒヒル』は、どちらも含んでおり、また実社会に横たわる問題に対する思考も展開されています。

本作において登場する「ヒヒル」と言うのはある病に冒された患者のことを指します。この疾患は現実には存在しません。しかし、「現実と妄想の区別がつかなくなる」「知能が低下したり忘れっぽくなる」「顔や体が変形したり崩れたりする」と言った症状を聞いてどうでしょうか、あなたの知っている実際の疾患に置き換えて理解することもできるのではないでしょうか。『ヒラヒラヒヒル』は架空の病をネタに使いつつも、その後ろには我々の社会に存在する病を扱っていると言えます。そして病の症状だけでなく、それに向き合う患者、親族、街の人々も描いており、これもまた現実にリンクしています。

長いテキストの上にこんな真面目くさった話を読まされるなんてさすがに退屈だろうと思われるかもしれませんが、いやそんなことはない。なんと言っても、長いテキストなのにスルスル読めてしまうことが瀬戸口廉也の作家性の一つですし、今回のテーマも別に難しい話と言うことはないほど身近なことです。当事者と直接かかわる人と言うと確かに数は少なくなるかもしれませんが、街中でみかけたことのない人はまずいないでしょう。そのくらいの関りでも読めるし、それくらいの関り方で読めるそう難しい話でもありません。テーマに沿った秀逸なシナリオが退屈を許さない、というのもあります。

ビジュアルについても文句なし。優れたCGはサンプルで一目瞭然です。またUIも大変見やすく現代的。瀬戸口テキストの読みやすさを底上げしています。

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